古い望遠鏡を再生してコンデジで月の写真を撮ってみた

うちには、30年ほど前のハレー彗星最接近の際に買った天体望遠鏡があります。
接眼レンズを落として割ってしまったまま眠りについていたのですが、このたびレンズを復活させて月の写真を撮ってみました。

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スーパームーンの少し前に撮った写真です。
スーパームーンの当日は曇り空で月を拝めませんでしたが、少し欠けているほうが月の表面のデコボコが立体的に見え「ふだんはお盆のように平べったい月にだって、山脈も、谷底も、あるんだよ」と実感できるのでお勧めです。

星空などの天体写真を撮る際には、一般的には一眼レフカメラを望遠鏡に接続して使うと思うのですが、あいにくうちには一般的なコンパクトデジカメしかないので、今回はコンデジを留め具で望遠鏡に固定する(コリメート撮影:Wikipedia)という簡単な方法で撮影しています。

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コリメート撮影のいい点

安い
 望遠鏡とデジカメがあれば留め具を買うだけで済みます。

望遠鏡で見えるそのままを撮影できる
 望遠鏡の拡大倍率をそのまま生かせます。
 さらにカメラの光学ズーム機能を使って拡大することも可能・・・ですが、観測対象が月の場合は既にでかすぎてデジカメの光学ズームの出番がないという・・・。

とにかく安い

・カメラの液晶画面を通すことで、一度に複数人で望遠鏡を覗くことができる

ひたすら安い

一方、ちょっと困る点は

望遠鏡とカメラの位置合わせが非常に難しい
 人間が望遠鏡を覗く目の位置ちょうどにカメラのレンズを固定しなければならないのですが、これがなかなかシビアです。位置だけでなく角度も合わせる必要があります。

位置合わせは何度もやり直しが必要
 せっかく固定しても、留め具が充電やSDカードの抜き差しの邪魔になる場合はカメラを外すことになるので、その度にやり直しが必要です。

カメラ側の三脚用のネジ穴の位置によっては、利用できない
 うちには古いコンデジ(ネジ穴が真ん中にある)と新しいコンデジ(ネジ穴が端に寄っている)があるのですが、新しいコンデジはどうやっても位置を合わせることができませんでした。

シャッターボタンを押すと望遠鏡が揺れる
 セルフタイマー機能でシャッターを押してから10秒後に写真が撮れるようにすれば回避できます(5秒だとまだ揺れが続きます)。シャッターボタンを押した際に望遠鏡の向きがわずかに動いてしまった結果、高倍率だと撮りたいものが視界から出てしまうことも・・・。

先ほど「簡単な方法で撮影」と書きましたが、簡単なのは仕組みだけで、使うのはかなり面倒くさいシロモノでもあります。
とはいえ、天体写真への敷居をぐっと下げてくれるのは確かですし、今回入手した留め具にはスマホを固定できる器具もついてきたので(100均でも入手できます)、大画面でいいカメラを積んだスマホが余っていれば、写真を撮るよりもライブビューイング的な使い方に割り切るのもいいでしょう。

さて、ここからは大いなる余談です。

最初に接眼レンズを復活させたと書きましたが、このたび接眼レンズを買おうとしたら、いつの間にか世間の接眼レンズのサイズが変わっていて正規品が売っていない! という羽目に遭ってしまいました。

ちょっと前に三菱自動車のコマーシャルで反射望遠鏡をさかさまに覗いていたことが話題になったりしているので、あらためて天体望遠鏡の使い方をまとめてみました。

基本的に10歳の頃の知識で書いていますが、間違ったことは書かないよう確認しているつもりです。


★天体望遠鏡の使い方

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望遠鏡を見たいものに向け、後ろから覗きます。

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反射望遠鏡の場合は、横から覗きます。

とはいえ、天体望遠鏡はカメラや双眼鏡と違って調節がシビアなため、いきなり見たいものを狙うのは難しいものです。
そこで、まずファインダーを使っておおよその方向を合わせます。

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※はじめて使う望遠鏡の場合は、事前に昼間になるべく遠い地上の目印(交通標識でも携帯電話のアンテナでも政党のポスターでも何でもいいです)を使って、望遠鏡本体とファインダーの向きが合うよう調整しておきます。

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ファインダーにはレチクル(十字)が表示されるので、レチクルの中心に目標を合わせます。

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望遠鏡にはオートフォーカス機能はないので、手動でピントを合わせます。

ところで、夜空を見るためには、時には望遠鏡を限りなく真上に向ける必要があります。

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後ろから覗くタイプの場合、これだと覗きにくいです。
そこで、プリズムを足すことで光を90°曲げ、覗きやすくします。

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一般的なプリズムは本当にプリズム(ガラスの塊)を使っていますが、激安望遠鏡の場合は、単に鏡が入っているだけのこともあります。


★拡大の仕方

ここでちょっと理科の授業を思い出して欲しいのですが、星に向ける側を対物レンズ、覗く側を接眼レンズと呼びます。

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望遠鏡によっては、接眼レンズが複数ついてくる場合があり、これを替えることでさらに大きく見ることができます。

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望遠鏡を購入すると、倍率の違う接眼レンズが何本か付属してきます。
接眼レンズには、mmの表記があります。
このmm数が小さいほど倍率が高くなります。
なお、数字と一緒に書かれている「PL」とか「H.M.」というのはレンズの仕組みを表します。

「mmじゃ分かりにくい。何倍になるか書いてくれればいいのに」と思ってしまいますが、これには訳があります。
接眼レンズの倍率は、対物レンズによって(つまり望遠鏡によって)変わるのです。

具体的には、対物レンズの焦点距離(虫眼鏡で太陽の光を集めて黒い紙を燃やすときのあれです)を接眼レンズの焦点距離(接眼レンズに書かれているmm数も焦点距離なのです)で割った数が倍率になります。
例えば、同じ焦点距離20mmの接眼レンズを使っても、焦点距離が500mmの対物レンズの場合は

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倍率25倍になります。

ところが、焦点距離が1000mmの対物レンズの場合は

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倍率50倍になります。
同じ接眼レンズを使っても、倍率が2倍も違うことになります。
接眼レンズは望遠鏡を替えても使えるので、接眼レンズに倍率を書いてもあまり意味がないのです。

「じゃあ、全長が長い望遠鏡を買ったほうがいいのね!」ということになりますが、世の中には見かけより焦点距離が長い望遠鏡もありますので、注意が必要です。

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接眼レンズには、焦点距離が可変なズームレンズもあります。

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焦点距離を変えるたびにピントの調整が必要ですが、接眼レンズを付け替えるより楽です。

そもそも倍率とはなんぞやといいますと、目標との距離をどれだけ縮めてくれるかを表す数値です。

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たとえば月は38万km離れていますが、100倍の望遠鏡で見ると月が3800kmまで近づいた大きさで見えることになります。
実際に月をその大きさで見ようと思ったら、ロケットで月に近づくか、月にこっちに来てもらうかということになります。
天体望遠鏡はテレポーテーションの道具と言えるかもしれません。


★望遠鏡のスペック

先ほど、接眼レンズを替えれば倍率が上げられるという話をしました。
「じゃあ、焦点距離の短い接眼レンズを買えばいくらでも大きく見えるじゃん!」
ということになりますが、それにも限界があります。
新聞に載っている小さな写真をいくら拡大コピーしようと、きれいに見えるわけではないのと同じです。

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望遠鏡のスペックは、対物レンズの大きさで決まります。

快適に見られる倍率:おおよそ対物レンズの大きさ(mm)と同じ

限界の倍率:おおよそ上記の2倍まで

と言われています。

口径が8cm(=80mm)の望遠鏡の場合、快適に見られる倍率が80倍、限界が160倍ということになります。

なぜそんなに対物レンズの大きさが重要なのかといいますと、レンズが大きければ大きいほど、遠くの弱い光を集める能力が高くなるからです。

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たとえば直径6cmの対物レンズと直径8cmの対物レンズを比べると、円の面積はπr2なので

・直径6cmの対物レンズの面積は28.26cm2

・直径8cmの対物レンズの面積は50.24cm2

たった2cmしか違わないのに、性能は2倍近く向上するわけです。
すなわち、望遠鏡のスペックで重要な「集光力」や「分解能」がこれで決まります。

望遠鏡そのものの値段も、対物レンズに比例します。

口径5cm


口径6cm


口径7cm


口径8cm


対物レンズはこれほどまで重要なので、天体望遠鏡の世界では「対物レンズ」と言わずに「主鏡」と呼ぶ場合が多いです。
日本のメーカーの主鏡はセンチ単位で作られている場合が多いですが、アメリカ製の望遠鏡はインチ単位で作られているため、大きなものになると

20.3cm(8インチ)とか、

35.6cm(14インチ)とか、

40.6cm(16インチ)など、

ある特定の趣味を持った人にはなじみのあるサイズのものになります。
天体写真の撮影という観点における30年前と今との大きな違いは、デジタル技術が一般人にも手の届く所まで近づいた結果、

カメラが現像するまで何が撮れたかわからないフィルムカメラから、その場で撮影結果を確認できる高性能なデジタルカメラになった

パソコンと専用ソフトの使用による画像処理により、写真の重ね合わせができるようになり、長時間露光の必要が薄れた

などの要因で、望遠鏡本来の性能を超えた写真が撮れるようになった点にあると思います。
しかし、写真を通さず肉眼で星を見る限りは、望遠鏡は今も昔も大艦巨砲主義の世界です。


望遠鏡をステップアップする際には、本体や三脚等一式をまるごと購入する以外に、本体(鏡筒)のみを購入して三脚や接眼レンズを使いまわすことができる場合があります。

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10.5cm望遠鏡(鏡筒のみ)

20cm望遠鏡(鏡筒のみ)

26cm望遠鏡(鏡筒のみ)

さて、「ハレー彗星の頃に買った望遠鏡が家にあるが接眼レンズを落として割ってしまったまま置きっぱなし。久しぶりに使ってみようと思ったら合う寸法の接眼レンズが売ってない!」という、うちのようなパターンの場合、望遠鏡のアダプタ部を交換することで現行のサイズ(アメリカンサイズ)に対応できる場合があります。

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ただし、プリズムやサングラス、ムーングラスなど、接眼レンズの大きさに依存するパーツは総交換(買い直し)が必要となります。
それでもちょくちょく取り掛かる方がいらっしゃるようで、定期的にヤフオクを巡回していると、以前のサイズ(ツァイスサイズ)の接眼レンズが出品されています。

うちの場合は、プリズムはヤフオクで、接眼レンズは8-24mm対応のズームアイピース(主鏡の焦点距離が910mmなので倍率38倍~114倍に相当)を購入し、本来の価格との差額でコンデジを望遠鏡に接続する留め具を買いました。

もしご自宅に望遠鏡が眠っているのなら、たまにはスカイウォーキングをしてみると、憂き世のよしなしごとから離れることができるかもしれません。

・・・などと書いていながら心苦しいのですが、ここ数ヶ月は家庭用サイズの天体望遠鏡で見ることができる惑星がない状態が続くようです。

国立天文台「今日のほしぞら」
http://eco.mtk.nao.ac.jp/cgi-bin/koyomi/skymap.cgi

火星は宵の明星を追いかけて早めに沈んでしまい、木星が昇るのは真夜中です。
一般の方に見せて喜ばれる土星に至っては、太陽と一緒に昇って太陽と一緒に沈むため、見ることができないシーズンが続きます。

とはいえ、冬の星空は澄んでいて美しく見えるので、惑星以外にも見て楽しめる天体がいろいろとあります。
そんな時は、望遠鏡をあえて最低倍率に落として、星団の輝きを追いかけるのもいいでしょう。


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