昭和14年のマナーブック

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 昭和十四年一月一日発行婦人倶楽部付録
「すぐ役立つ問答式新実用お作法」(写真左上)
 を借りてきました。

 婦人倶楽部は、大正9年(1920)から昭和63年(1988)まで講談社が発行していた婦人向け雑誌です(Wikipedia)。
 講談社が今の社名になったのは昭和33年(1958)のことで、この付録がついた頃は「大日本雄辯會講談社(大日本雄弁会講談社)」という名前でした。

 戦前のお作法の本ということで、今でも内容的に通じる部分と、今とはすっかり変わってしまった部分があるのですが、いろいろ紹介してみたいと思います。


 著作権関連については、

・国民作法研究所長 甫守謹吾(1863-?)
 同著者の書籍が著作権保護期間満了扱いとなっています。
 本を出版されたのは、昭和17年(1942)が最後のようです。

・東京女子高等師範学校(現在のお茶の水女子大)講師 岡 初野(生没年不詳)
 昭和19年(1944)の雑誌への寄稿を最後に、足取りが不明です。

・西崎綾乃(生没年不詳)
 昭和15年(1940)の雑誌への寄稿を最後に、足取りが不明です。

・東京家政学院長 大江 スミ(1875-1948)
 東京家政学院(現東京家政学院大学)創立者です。

 以上のとおり、甫守謹吾先生と大江スミ先生の寄稿分については著作権保護期間を満了しています。


 借主の許可ももらえたので、著作権保護上問題がないことがはっきりしている部分を、この日記の末に置いておきます(表示されない場合、more...の部分をクリックすると表示されます)。
 当時を知る資料としてご覧ください。

 以下、岡 初野先生と西崎綾乃先生の執筆分については、引用にとどめたいと思います。

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 当時からあった長身法。

★出征、入営、戦傷、戦死に関するお作法(甫守謹吾)p.6~10
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 戦傷、戦死のお作法は、今の世には役に立って欲しくないものです……。

★訪問のお作法(岡 初野)p.11~17
★接客のお作法(岡 初野)p.18~22
「茶の湯を知らないで出されたときはどうするか」
 ドキッとしますね。
 あと、訪問先に女中さんやボーイさんがいるのが前提だったりするあたり、当時の婦人誌の購買層のイメージ(妄想かも?)が広がります。
 親戚にも、戦前には女中さんがいたらしいのですが、昔のことなのでよくわかりません。

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 車のドアが観音開き!
 待機する運転手さんや車夫(人力車を引く人)へチップを払う場合もあったようです。

★贈答のお作法(甫守謹吾)p.23~27

★日常常識のお作法(岡 初野)p.28~31***
「旅館の茶代祝儀などはいつ出したらよいか」
 日本にチップの習慣があったなんて知りませんでした。
 しかも、宿泊代の2~4割が相場だったようです。
 さらに、女中さんには宿泊料の2割程度のチップを払い、風呂場の流しにも50銭~1円程度を置いたようです。
 「茶代廃止」を標榜した旅館もあったようです。

「国旗と外国旗とを並べる時左右どちらが正しいか」
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 なんと、ハーケンクロイツが!
 この本が出たのは昭和14年(1939)なので、まだ日独伊三国同盟の締結前です。
 平成23年(2011)年の映画「聯合艦隊司令長官 山本五十六 -太平洋戦争70年目の真実-」では、山本五十六が三国同盟反対の三羽烏の一人として非難されるシーンが出てきますが、おおよそ世間の雰囲気はそんな感じだったのでしょう。

★新年のお作法(甫守謹吾)p.32~35
★婚礼のお作法(甫守謹吾)p.36~48
 結婚や結納のしきたりは、地方によっていろいろと違うようですが、それは戦前ではなおさらだったようです。
 当時の中流階級の結納金が「大体百円見当」、返しとして「三十五円からせいぜい五十円」、物品として、この記事が書かれた頃には「モーニングなどを贈るのもよろしい」とあります。
また、現在では省略されていますが、当時は結納の使者が実際に両家を行き来したようです。
 ただ、
「近頃では一層簡略になって、双方が媒酌人の家に落合い、そこで両家の結納が交換されるのが多くなってきたようです。(中略)時勢に適したものと言えましょう」
 ともありますので、いつの世も簡素化が求められていたようです。

「婚礼日はどうして選んだらよいか」
 式の日取りは
「女には月の中約七日間は生理的に支障があるのですから、新婦本位に決めたいものです」
とのことです。
 世の男子諸君、心しましょう。

「披露宴の費用はどちらが負担するか」
 両家それぞれで招待した人数にに応じて分担、ただし新婦本人の分は婿方で負担するものとされていますが、地方の風習によってさまざまなので、その場合は媒酌人と相談して決めるのがよいとされています。

「結婚届けはいつするのがよいか」
「人によっては式を挙げても、その届の方はいつまでも放って置くのがあるようです」
(意図的にそうしている場合は別として)いつの世にもズボラなひとはいるようです。

★出産その他吉事のお作法(西崎綾乃)p.49~51
★病気見舞のお作法(西崎綾乃)p.52~53
 見舞い品として葡萄ジュースやトマトジュースを勧めています。
 滋養強壮にということでしょうか。

★災害見舞のお作法(西崎綾乃)p.54~55
「知人が召喚された時はどうしたらよいか」
 国家間の仲が悪くなったときに、相手国にいる大使を呼び戻す事を「召喚」という用例は知ってたのですが、この場合は裁判所からの出頭命令なのだそうです。不勉強でした。

★和食のお作法(大江 スミ)p.56~61
★洋食、支那食のお作法(大江 スミ)p.62~69
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 当時は、今で言う中華料理のことを「支那食」と称したようです。
 また、バターを「バタ」と表記しています。
 北海道土産で有名なマルセイバターサンドの箱にも「マルセイバタ」と書いてありますね。
 他にも、スイカの種の食べ方が載っています。

★果物、お菓子のお作法(大江 スミ)p.70~73
「水蜜桃のすすめ方 頂き方は」
 水蜜桃ってなんぞ? と思ったのですが、調べたところ、明治になってから輸入された桃で、現在一般的な桃はこの系統だそうです。
 つまり、水蜜桃以前の桃は、今の桃とは違ったものだったようです。
 桃太郎の桃は、そんなに甘くなかったのかもしれませんね。

 ケーキやシュークリームの食べ方は、今でも、お上品な方はここに書いてあるとおりにするようです。

★凶事のお作法(岡 初野)p.74~81
 香典袋に「御香典」「御仏前」「御霊前」などどう書くかというのは、いつの世も人を悩ませていたようです。
 仏式、神式、キリスト教式での対応の仕方が記載されています。
 また、喪服の代わりに
「黒リボンの記章をつければ、地味な平常着でよいという国民精神総動員連盟の決めに従うのも結構でしょう」
 そういうものがあったようです。

★手紙、電報のお作法(西崎綾乃)p.82~84
 電報の料金が載っており、これによると

1.同一市内 15銭
2.内地(3.以外の当時の日本領と考えればいいでしょう) 30銭
3.朝鮮・台湾・樺太・南洋諸島 40銭


だったようです。
 また、当時は弔電の「二」(漢数字)=「謹みて御悔み申す」が、祝電の「ニ」(カタカナ)=「合格を祝す」と間違って届くことが問題だったようで、このことに何度も触れられています。

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 満州出張所!

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 いつの世も、婦人誌に欠かせないのは化粧品の広告でしょうか。
 当時、まだ国民にとって、戦争とは「本土のはるか遠くでの出来事」でした……。


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訪問のお作法(東京女子高等師範学校 岡 初野 先生)11~17頁
接客のお作法(東京女子高等師範学校 岡 初野 先生)18~22頁
著作権保護期間満了時期不明のため割愛


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日常常識のお作法(東京女子高等師範学校 岡 初野 先生)28~31頁
著作権保護期間満了時期不明のため割愛


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出産その他吉事のお作法(西崎綾乃先生)49~51頁
病気見舞のお作法 (西崎綾乃先生)52~53頁
災害見舞のお作法 (西崎綾乃先生)54~55頁
著作権保護期間満了時期不明のため割愛


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凶事のお作法(東京女子高等師範学校 岡 初野 先生)74~81頁
手紙、電報のお作法(西崎綾乃先生) 82~84頁
著作権保護期間満了時期不明のため割愛


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